DPS Wailer99のスレッドインサート化(後編)

後編では前回加工を済ませたアクリルレーザー加工品のジグを使い、穴あけとインサートの取り付けを行います。切子が大量に出る作業なので実家の作業小屋で行います。まず最下層のジグに対して皿ビスを埋め込む為のザグリ加工を行います。

これが終了するとジグとしては完成ですので本固定を行います。ペーパーテンプレートや金属製ジグと異なり透明ですのでセンター合わせは容易です。

次に6.5mmのドリルで穴を開けていきます、カーボンモデルなので切子は黒いです。板自体の厚みもハイブリッドモデルと異なり薄いので慎重に進めます。

前部の8箇所は深さ9.5mm、最後部の3箇所は7.5mmに仕上げる必要がありますので、フライスの深さ目盛りでそれぞれ9.0mm、7.0mmで加工しジグを外します。最後にマイクロゲージで測りながら微調整します。

下穴が仕上がった所でタッピングです。今回失敗したのがここで、カーボンモデルであることが原因かもしれませんが仕上げタップをいきなり入れるのはかなり難しく何箇所か序盤1回転でズッコケさせてしまいました。BindingFreedomのインサートは下穴にインチで5/16-18のタップを切るよう指示されていますが、これはごく一般的なサイズなので国内で中タップ+仕上げタップのスパイラルタイプを入手されることをお勧めします。私はタップをインサートとセットで購入しました、これはストレートタイプなので本来止め穴には使ってはいけません、対象は樹脂と木でできた板なので適当で良いという事かもしれませんが。

今回最後部の3箇所は一般的なビンディングの取り付けでは使用しない位置で、6.5mmの深さで空けるよう指示されています。板の厚みもこの部分は10.5mm程度しか無いのでインサートを短く加工して取り付けます。

10mmドリルで適当に面取りを行った後エポキシで固定を行います。エポキシは硬化の際20度以上の温度を保つ必要がありますので注意。

というわけで硬化終了です、微妙に斜めっているのが画像でも分かるかと思います。タップで失敗してますね、ただビンディングの取り付けには全く問題は無いです。しかし無地色の板だと仕上げの状態が丸わかりですね。粗い!

そんなわけで2012のクリスマス前後はニセコで存分にテストを行いました、まだ滑走日数で20日行っているかどうかというレベルですので云々するのもどうかと思いますが、非圧雪はもちろん圧雪も抜群のコントロール性で非常に満足しています。もう少し太くて長い板でも良かったかも。

しかしフォルムもカラーリングも実に女性的な板ですが、メカメカしいデザインのAdrenalinとは壊滅的に合いませんね。機能優先とはいえ酷い。しかし乗り味は非常に気に入ったのでこのまま汎用偵察マシンとして使って行きたいと思います。

次からはもう少し技術的な話題になりますのでご容赦の程を。

DPS Wailer99のスレッドインサート化(前編)

久々のエントリーに唐突にスノースポーツねたで申し訳ないです、少々ありまして2011年終わり頃からゲレンデ通いをしています。今冬ある程度慣れてきたので変わった板が欲しい、と取り寄せた所面倒な話になったので顛末を書いてみます。シーズンを外すと話題として微妙になってしまうのでまずこの辺から。

やはり単車と同じく荒れている場所でゴソゴソとやっていた方が好きなので、最初なのであまり過激でないファット板を物色し購入を決めたのがこちら今冬リリースのDPS Wailer99です。私は直接米国のサイトから注文し日通の転送PJを利用して輸入しました。国内代理店で買うより大幅に安いですがオーダーから発送まで1ヶ月程度は待ちました。注文を入れたのは12-13モデルが発表されて暫く経った10月です。こんな感じの荷姿で到着です。

ビンディングは結構悩んでウォークモード付きにしたい、ということでチロリアのAdrenalin 16を選択してみたのですがここで問題発生。細かい話は省略しますが、出たばかりで実績の無い組み合わせなのでショップでの取り付けはできず、自分で取り付けを行わなければならなくなってしまいました。

取り付け方法をネットで調べてみると、ビンディングメーカーではSSTとしてこのようなジグをショップ向けに販売しており、正式にはこれを使用しなければならないようです。eBayの中古相場を見ても新品取り寄せは相当高額でしょうし、個人に売ってもらえるかどうかも分かりません。しかもドリル径は板メーカーの指示に従うべしと書かれているし、かといってビンディング付属のペーパーテンプレートを使うのも精度的に不安です。・・そして何時もの様に「分かったよ!自分で作るよ!!」となった訳です。

何せ始めてで不安なのでこちらのページを参考にボードの様にインサート化しつつ取り付けしてみる方針にしてみました、ジグは曲面で構成された板にフィットしつつ安価でということでアクリル板にレーザー加工で製作します、難点はドリルのガイドですが、機械系の工作をやる方には言わずもがなのミスミで、おそらく金型用と思われるピンガイドが使えそうなのでこちらを使用します。ミスミには’規格製作品’という部品が多数あり、部分的に指定寸法でオーダー毎に加工してくれます。今回ガイド内径がドリルの径と合っていないと話になりませんので、ドリル径6.5mmなのでガイド内径6.6mmで指定して発注します。但し今現在個人では発注を受けて貰えませんので、代行サービスを利用します。結果このように仕上がってきました。

1個700円もしますが、再利用可能なのでまぁ許せますかね。次にビンディング付属のペーパーテンプレートから採寸し、レーザー加工用の図面を引きます。

途中でハマったのがペーパーテンプレートの寸法誤差です。何度測っても微妙合わん、、と悩んでいた所実寸より0.1%程小さいんですね。たかが0.1%と言っても全長500mmとなると0.5mmの誤差になるので「あっれェェ??」となるには十分です。最終的に3枚構成にし、板とピンガイドを挟み込む形に仕上げます。

ここまで進めた所で北海道遠征の日程直前になってしまい、確実に間に合わせる為渋谷のFabCafeで加工を行いました、かなり割高になってしまいますが苦労して日程調整した遠征で古い板を使うハメになるよりましです。

仮組みした所がこちらで、

ドリルガイド部分の収まりがこちらです、

精度はアクリルレーザー加工なのでかなり誤差は出ますがこの用途には十分でしょう。次回は実際に加工して取り付けを行います。